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かたな

1ヶ月履いてなかったシューズは、あんた誰みたいな顔でわたしのこと全然守ってくれないし、汗で湿ってきたら、柔くなった踵の皮をべりべりと剥いでいった。爪先も、踵も、ぜんぶ真っ赤に腫れて痛かった。なにより、腰もお腹もお尻も、体のすべてが重たくて動かない。自分の体じゃないみたい。すこし先のホールドに手を伸ばすのがすごく恐かった。自分の手足がちっとも信じられなかった。嘘みたいだった。頭で組み立てたムーブを、体が再現してくれない。同じ体なのに。激太りしたのかと思ってジムのひとに体重計を借りたら、なんなら体重は減ってた。当たり前だ。筋肉が落ちたんだもん。

 

何もしてなかったわけじゃない、山は歩いてた。ボルダリングをしてなかったから、ボルダリングができなくなった、って、ほんとにただそれだけのことだ。悲しい。というか恥ずかしかった。ただでさえ、たいして上手くもないのに、サボって下手になった。かっこ悪い。最悪だ。やめちゃいたい。でも、ここでやめたらぜんぶ終わりな気がする。何がしたいかなんてわからないや。痩せたいとか、かっこいいのがいいとか、どうせなら上手い方がいいし、とか。そんなの意味あるのかな。いつまで続けるんだろう。

 

ものすごく久しぶりに乗った山手線は、なんだか変な人ばっかりでうんざりした。お店のひとはそれらしいことを教えてくれたけど、正解なんてないのになと思った。新しいシューズを買った。靴下を履いても登れるの。気合いいれ直して、頑張らなきゃ。