4/2 手縫いの指先

そんなの泣いちゃうに決まってるよなぁって、思ったらもうだめだった。お人形の視線の先を追っては、何もない空間に存在しているなにかを想像して泣いてしまった。情緒、叙情。人を殺せるくらいのノスタルジー。むくむくと湧きまくる母性。

 

子どもだったわたしが、わたしが生まれる前に作られたお人形に泣いて、おばさんになっても同じものを見てまた泣く。いつかずっと遠い未来で、同じように誰かがそれを見て泣くんだ。良いものは継いでいく。みんな同じ。元気なんかださなくてもいいんだ。